FAQは「Frequently Asked Questions」の略で日本語では「よくある質問」と言われることが多いです。FAQはユーザーからの問い合わせの中でよくある問い合わせ内容を一覧化してあげることで、不明点の解消をオンライン上で完結させてあげるコンテンツです。
ユーザーから上がってくる声はオンライン・オフライン関わらず様々なチャネルから収集することができます。そういった様々な声を集約したコンテンツが充実することはカスタマーサポートのオンライン化によるオフラインチャネルのコスト削減やマーケティングやセールスに活用することで売上拡大へと繋がっていきます。ここでは既存のFAQコンテンツに対して、様々なログを活用して、コスト削減・売上拡大に繋がる方法をお伝えいたします。
目次
FAQ(よくある質問)を改善することで期待できる効果
FAQを改善することで期待できる効果は、顧客になる前となった後で異なってきます。顧客になる前であれば、商品やサービスを購入する前に疑問に感じているところを解消してあげることでその商品・サービスの信頼感に繋がり購入につながることが見込めます。また購入後には、商品やサービスの利用をしている中で生まれる不明点をオンライン上で解消してあげることでユーザー満足度の向上やオフラインチャネルでの対応コストの削減に繋がっていきます。
自然検索・音声検索流入の増加
FAQコンテンツが充実することでGoogleやYahoo!といった検索エンジンから集客向上が見込めます。ユーザーは感じる疑問点に対して、検索エンジンにキーワードを入力して検索します。その検索結果として自社のコンテンツが表示されることでFAQへの自然検索流入が増加します。
またGoogle AssistantやAlexa、Siriといった音声検索エンジンの普及により検索を行う際にテキストではなく音声検索を行うユーザーも増えています。ユーザーが発した言葉をテキストに変換し、Web上のコンテンツから該当する回答を音声として返します。音声検索を利用するユーザーは、「今日の天気は?」や「単語の意味は?」など短文の回答で満足が得られて話し言葉で検索することが多いのも特徴です。この特徴にマッチしやすいのがFAQコンテンツになります。FAQは質問に回答する形式を取っているため、話し言葉への対応や質問に対しての端的な回答がしやすい構成になっています。
ユーザー満足度の向上
FAQにたどり着くユーザーは解消したい課題を持っている方が多いです。その課題に対して、FAQコンテンツで回答してあげることでユーザーの満足度の向上につながります。顧客ではないユーザーにとっては、商品やサービスの理解度が深まり購入の促進を計れるかもしれません。また既に顧客になっているユーザーには、商品やサービスを利用することで生じる不明点をオンライン上ですぐに解決できるため、商品やサービスに対してネガティブな印象を持つことが少なくなり、利用継続の一助になるかもしれません。
問い合わせ対応コストの削減
オンライン上のコンテンツで不明点が解消しない場合は、コールや有人チャット、リアル店舗などを活用して、ユーザーは問題を解決しようとします。しかし人的リソースを活用するとその分だけ対応コストが発生します。人的リソースが逼迫することで、サポートを欲するユーザーの待ち時間が長くなったり、対応品質が落ちてしまったりする可能性もあります。そういった問題もオンライン上で解決できていれば削減できるコストになるため、FAQの充実はコスト削減にも繋がっていきます。
FAQ(よくある質問)の改善手順
FAQを改善するまでには「現状のパフォーマンスの把握」「改善シミュレーション」「改善案の実行」と大きく分けて3つの工程に分けられます。改善案を実施した際のインパクトを把握することで実施可否の検討を行い、費用対効果が得られる改善かを見極めて実行に移していきます。
関連データを活用したパフォーマンスの把握
FAQを改善するのに活用できるデータは大きく分けて、FAQサイトで発生するデータとそれ以外のVOCデータの2種類あります。FAQサイト内で発生するデータは実際にFAQサイトを使っているユーザーの行動から状況を把握してボトルネックをあぶり出します。またVOCデータは、「Voice Of Customer」の略でお客様の声を活用する方法になります。
FAQサイトログ
FAQに発生するデータでボトルネックを把握するのに活用できる指標は、「FAQサイトへの流入」「サイト内検索のフィードバック」「コンテンツへの理解度」の3つになります。
| FAQサイトへの流入 | 検索エンジンで検索されるクエリに対して、自社のFAQでカバーできているコンテンツに不足が無いか調査 |
| サイト内検索のフィードバック | サイト内検索のクエリに対して、FAQで提供できているコンテンツに不足が無いか調査 |
| コンテンツへの理解度 | 各コンテンツを閲覧したユーザーからのフィードバックで不満に感じているユーザーの割合や数を調査 |
FAQサイトへの流入
検索エンジンで検索されている自社の商品やサービスに関連するお悩み系のクエリに対して、自社が提供しているFAQでコンテンツが提供できていない場合は、FAQにコンテンツが不足していることを指します。検索エンジンで検索されているキーワードを調査する場合は、「ラッコーキーワード」を使用することがおすすめです。検索窓に自社商品名やサービス名を入力して出てくる関連キーワードと対応するFAQコンテンツをマッピングした際に、不足しているキーワードがあった場合、そのキーワードに対してFAQコンテンツを作成することで検索エンジンで検索するユーザーのお困りごとを解消することができるようになります。
不足しているコンテンツが多い場合は、優先順位をつけることが大切です。検索エンジンで検索されている回数が多いクエリほど困っているユーザーが多いことを表すため、各クエリの検索回数を合わせて調査することで優先順位をつけやすくなります。検索クエリの検索回数を調べるには「Googleキーワードプランナー」を活用することで、調査可能になります。
サイト内検索のフィードバック
サイト内検索は、ユーザーニーズを探るのに非常に有益なデータが沢山あります。サイト内検索はFAQサイト内でユーザーが求めているコンテンツを検索するため、ユーザーの顕在ニーズがテキストとしてログに残ります。ユーザーが検索するキーワードでコンテンツがヒットしない場合は、コンテンツが不足しているかもしくはユーザーが検索するキーワードでコンテンツが用意されていないことを表します。
ユーザーが検索したにも関わらず検索結果が1件も表示されなかった割合は、ゼロヒット率として指標化できるためこの値をいかに少なくしていくかが改善のポイントになります。(自社とは全く関係ないキーワードが検索される場合もあるため、ゼロヒット率が0%になる確率は低いです)
コンテンツへの理解度
FAQの各コンテンツを読了したユーザーに対して、問題が解決できたか否かの簡単なアンケートを取ることで、用意しているコンテンツでユーザーの抱えていた課題を解決できたか確認することができます。問題を解決できなかった割合や数が高い場合、ユーザーニーズに対してFAQコンテンツは用意できているが、そのコンテンツの質は低いことを表します。
また質の低いコンテンツが判明した際に、どの領域でユーザーの不満を抱いてしまったのかを判別するためには、ヒートマップや解決できなかったユーザーに対して不満点のアンケートを取る事で、コンテンツの改善ポイントを明らかにすることも可能です。
VOCログ
FAQサイトのログ以外にもFAQの改善に有効活用できるデータがVOCログになります。VOCのログを収集するには様々なデータソースがありますが、代表的なものとしては「電話(コール)」「チャット」「お問い合わせフォーム」「SNS」があります。
| 電話(コール) | コールセンターなど直接、電話問い合わせして上がってくる声です。ユーザーの生の声が集まるチャネルであり、単語数も多く情報量が多いのが特徴です。 またユーザーの生の声に合わせて、声を上げてきたユーザーの感情も読み取ることが可能になります。 |
| チャット | チャット経由でお問い合わせをしてくる声になります。チャットには、AIや自動スクリプトなどを活用してある程度は無人で対応しつつ、無人で対応できないものは有人チャットとして活用するといった形式もあるため定量・定性両方の側面でデータの収集が可能になります。 |
| お問い合わせフォーム | Webサイトやアプリなどのお問い合わせフォームから上がってくる声になり、用意している選択肢の比率やテキストでの自由形式で問い合わせログを確認することができます。 |
| SNS | TwitterやLINEなどSNSに上がっているユーザーの声になります。自社アカウント宛に来るリプライやユーザーアカウントでつぶやきのように発せられている声があります。つぶやきのような声は企業に伝えようとしている声では無いので、本音が出やすいという特徴があります。 |
目標のパフォーマンスを達成するための改善シミュレーション
現状が把握できたら、現状のパフォーマンスからどれくらい改善したいか、パフォーマンスをいくつにしたいか整理します。整理ができたらそのパフォーマンスを達成するのに各項目の数値をどう改善しないといけないかシミュレーションを行います。
目標のパフォーマンスの整理
FAQを改善していくにあたってまずは目標値を決めます。目標は「売上貢献」もしくは「コスト削減」の大きく分けてこの2種類に分類されます。「売上貢献」はFAQのコンテンツ経由で商品やサービス申し込みや契約への導線を設けて、売上へのアシストを行います。「コスト削減」はFAQでユーザーの課題を解消してあげて、人的稼働が必要なチャネルの負担を減らします。
売上貢献
売上貢献の目標例としては、FAQから商品やサービスへの申し込み・契約導線を設けて売上貢献を行うことになります。
| 送客数 | FAQコンテンツから商品・サービス契約への送客数 |
| 送客貢献数 | FAQコンテンツから商品・サービス契約への送客した後に申し込みや契約に至った数 |
コスト削減
コスト削減の目標例としては、FAQコンテンツでのユーザーの課題解決を行い人的稼働を減らすことになります。
| 課題解決数(未解決数) | FAQコンテンツで、課題が役に立った数もしくは役に立たなかった数。 役に立った時より役に立たずに不満が募った時の方がアクションを起こすことが多く、不満数を減らす目標を設定することが、その後の改善改善の結果を把握しやすくなります。 |
| 入電削減数 | コールやチャットへの人的リソースが必要なチャネルへの入電削減数 |
| 対応削減工数 | コールやチャットへの人的リソースが必要なチャネルでの対応工数の削減分 |
目標到達までのシミュレーションを実施
目標のパフォーマンスが決まったら、現状の状態からそこに辿り着くためにどの項目を改善していくべきか整理していきます。
売上貢献
売上貢献はFAQからの送客導線からどれくらい商品やサービスの契約に至るかをシミュレーションします。
売上貢献金額 = FAQ閲覧ユーザー数 × 送客率 × 申込率 × 契約単価
コスト削減
コスト削減はFAQで解決した数によってどれくらいコストの削減につながったかシミュレーションします。
コスト削減金額 = FAQ改善による入電削減数 × 1件あたり対応削減工数 × 契約時給
改善案の実行
現状のパフォーマンスと目標とすべきパフォーマンスが決まったら、その乖離分を埋めるための改善案を検討・実行します。FAQを改善する方法は「CTA導線の設置」「構造化マークアップ」「不足コンテンツの拡充」「不満コンテンツの改修」「ノンボイスツールの活用」の大きく分けて5種類になります。
| 分類 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 売上貢献 | CTA導線の設置 | コンテンツの文脈として申し込みや契約を促しても違和感のない所にCTAを設置する |
| 売上貢献/コスト削減 | サイト構造の改修 | 自然検索エンジンに評価してもらいやすいようにFAQサイトの構造を見直す |
| 売上貢献/コスト削減 | 構造化マークアップ | FAQにあるコンテンツが検索エンジンに認識されやすくする。 構造化データによるマークアップについてはこちら |
| コスト削減 | 不足コンテンツの拡充 | ユーザーニーズはあるが用意できていないコンテンツがある場合は、新たにユーザーの問いに応えるコンテンツを新規で作成する |
| コスト削減 | 不満コンテンツの改修 | ユーザーの問題を解決できていないコンテンツは不満に感じている領域に対してコンテンツをリライトすることで、ユーザーが抱えている問題が解決できるコンテンツへと昇華させる |
| コスト削減 | ノンボイスツールの活用 | FAQだけでは問題解決ができなかったユーザーに向けて、自動で応答するノンボイスツールを使って問題の自己解決を促す |
サイト構造の改修
FAQサイトが検索エンジンに評価してもらいやすい構造はピラミット型になります。ピラミット型は、TOPページを頂点として階層構造にページを設置する方法になります。上階層に行けば行くほど、サイト内リンクが集中するためリンクジュースが渡りやすくなります。下の階層からリンクジュースを上げていくことで、上階層でビックワード、下階層でロングテールワードを拾えるような構造になります。
FAQサイトでピラミット型の構造を作る場合は、FAQのトップが最上流にあり、中階層に各FAQを取りまとめるカテゴリーページ、そして最下層に個別のFAQがある構造になります。最下層にある個別のFAQページがユーザーが抱えている疑問をピンポイントで解決するページになり、最下層でロングテールワードを拾いやすい構造になります。
FAQの構造がピラミット型で構成されているにも関わらず、思った通りに検索エンジンに評価されない場合は、サイト構造以外の要因が考えられます。各FAQの個別コンテンツが上位に表示されない場合は、Google Search Consoleなどのツールを使いボトルネックとなる要因を見つけ、改善施策を実行することをおすすめします。
ノンボイスツールの活用
FAQのコンテンツだけでユーザーの問題を解決できるのが理想ですが、解決できない場合にはチャットBotなどを使用することでコールセンターや有人チャット等、人的稼働がかからない形でユーザーのサポートをしてあげることが可能です。
| LINE公式アカウント | 自動応答、キーワード応答機能やチャットAPIを使用することで、顧客とのやり取りを自動化することができる。 LINE公式アカウントで対応できる内容はこちら |
| Zendesk | 人工知能を搭載したボット「Answer Bot」を使用することで、顧客対応を自動化することができます。 Answer Botの詳細はこちら |
まとめ
FAQを有効活用することで、顧客の疑問をオンライン上で解決することができます。ユーザーの疑問はオンライン・オフライン問わず声が上がってきますが、様々な声を集約してFAQに掲載することで、今まで人的稼働で対応してきたカスタマーサポートの対応工数が削減することができ、コスト削減にも繋がっていきます。また、FAQは既に顧客になっているユーザーだけではなく、顧客になる前のユーザーも商品やサービスの理解促進のために見ている方も一定数います。FAQに掲載しているコンテンツでユーザーの満足度が上がり、商品やサービスの契約促進にも繋がる可能性もあります。
FAQは、サイトの中であまり重要視されないパターンが多いですが、コスト削減・売上向上という2つの側面から見て、非常に有益なコンテンツとなります。FAQを改善して自社のビジネス改善に繋がる一助になれば幸いです。

