企業のマーケティング活動には沢山のリソースが必要になります。自社のブランドを認知してもらい、見込み顧客のリストを取得・育成しサービス契約への温度感を高めたりと対応内容は多岐に渡ります。そういった活動の一部を自動化できるのがマーケティングオートメーション(MA)になります。
マーケティングオートメーション(MA)を有効活用するためには事前の調査や設計から始まり、目的にあった利用ができるように必要なデータとつなぎ合わせた実装が必要になります。どんなに高度なツールを導入しても使い方を間違ってしまっては、マーケティング活動の自動化どころかツールに踊らされて逆に工数が増してしまう可能性すらあります。こちらではマーケティングオートメーション(MA)を有効に活用できるように設計から実装、改善までの方法をお伝えします。
目次
MAがマーケティング活動を最適化する理由
マーケティングオートメーションは「マーケティング」と「オートメーション」の2語をくっつけた言葉になります。マーケティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラー氏によると「どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生みだし、顧客にとどけ、そこから利益を上げること」と説いています。また経営学者であるピーター・ドラッカーは「マーケティングの目的は、販売を不要にすることだ」とも述べています。つまり要約すると「販売を不要にするために、生み出した価値を顧客に届ける」ことがマーケティングと言えます。またオートメーションはその言葉の通り、自動化やそれを促進する自動装置になります。そのためマーケティングオートメーションは、「価値を顧客に届ける自動装置」と言えることができます。
MAツールを活用することで、マーケティング活動の自動化ができることがツール導入のメリットですが、それに伴って様々な利点が生じます。
MAの役割・機能
MAはツールによって機能の差異はあれど、企業のマーケティング活動の自動化を目的にしているため、基本的に提供している機能は同一になります。またMAと似た目的で、SFAやCRMといったツールもあります。この2つとの関連性も含めMAが担う役割は大きく分けて3つあります。
MAの基本的な機能
MAツールは国内外合わせても沢山の種類があります。しかしMAツールを入れることで出来る事は「見込み客の獲得・育成」に集約されます。自社のビジネスを行う上で、顧客を集客して自社の商品やサービスに興味を持ってもらうというところが最初のステップになり、その機能を担うのがMAツールになります。
| 複数チャネルでの販促活動 | オウンド・ペイドの複数のメディアに対して、情報を個別(One to One)に発信し、その反応を一元的に管理 |
| 見込み顧客のスコアリング | 獲得した見込み顧客の管理と見込み顧客の育成度合いによるステージを顧客個別毎に管理 |
| データ連携 | 自社の顧客情報を管理しているツールとの連携や他外部ツールとの連携機能 |
MA・SFA・CRMの違い
MAと似た機能を持つツールにSFAとCRMがありますが、この3つは顧客のステージによって使い所が変わってくるためツールの使用目的が異なります。
SFAは、Sales Force Automationの頭文字を取っており、主に営業担当者を支援するツールです。MAで育成した見込み顧客に対して、営業活動を行うことで、その際の見込み顧客の反応や想定アクション等の営業活動の進捗を管理する役割を担います。一般的には見込み客へのアプローチはBtoBのイメージが強いですが、BtoCでも育成した見込み客にアウトバンドセールスを実施することで顧客化の促進は可能です。
CRMは、Customer Relationship Managementの頭文字を取っており、既に顧客になっているユーザーとのより良い関係構築のために利用されます。顧客の商品やサービスの利用状況や企業との接点などを元に顧客満足度の向上へ繋げる施策を実行することで、アップセルやクロスセルにつなげていく役割を担います。
MA・SFA・CRMは個別に扱うのでは無く、それぞれの特徴を活かして連携していけるとお互いのツールの強みに相乗効果が生まれていきます。
成果の出るMA設計方法
MA設計は「MAツール導入」「シナリオプランニング」「MAツール設計・実装」「効果測定・改善」の大きく分けて4STEPで実施していきます。
MAツール導入
実施したい施策内容に応じて最適なMAツールを選定し、必要な機能が使えるようにツールの利用範囲の定義と環境構築を行います。
シナリオプランニング
自社ビジネスの現状を分析し、必要なシナリオの洗い出しと各シナリオの設計を行います。
MAツール設計・実装
設計したシナリオをMAを用いて配信できるように設計と実装を行います。
効果測定・改善
実装して配信されたシナリオはユーザーの反応を見て、最適なシナリオにブラッシュアップしていきます。
MAツールの導入
MAを使って配信を行う際にまず初めに、利用するMAツールの選定とそのツール内で使用する機能を定義します。MAには様々なツールがありますが、自社のビジネスに最適なツールを選定しておかないと実装時点でやりたいことが実現できないことに直面してしまうため、利用するツールの選定は非常に重要になります。
ツール選定
MAツールの選定をする際には、自社のビジネス分類と必要な機能を整理を行い、最適なツールが何かを整理します。
事前整理
自社のビジネス分類整理
自社のビジネスがBtoBかBtoCかで最適なツールは変わってきます。BtoB事業は商品単価が高く購入までの決済手順も多いことから検討から購入までが長くなる傾向があります。そのため顧客のナーチャリングやリードスコアリング機能が充実しているツールが合います。
BtoC事業は多数の顧客とチャネルでコミュニケーションが必要になってくるため必要なタイミングでリアルタイムに多チャネルを同時に配信できるツールが合います。
MAツールの機能分類
MAツールは「リード管理」「スコアリング」「コンテンツ作成」「チャネル配信」と大きく分けて4つに分類されます。自社のビジネスに必要な機能に何があるのか項目毎に整理していきます。
| 分類 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| リード管理 | リード情報管理 | リードの企業や顧客情報をデータベースに保管する |
| リード管理 | オンライン行動履歴管理 | Cookie情報と紐付けた、オンライン上での行動履歴を管理・利用する |
| リード管理 | オフライン行動履歴管理 | イベント参加等オフライン行動の情報を取り込み管理・利用する |
| リード管理 | ダッシュボード機能 | マーケティング活動の各種プロセスをデータで可視化する |
| リード管理 | SFA/CRM連携 | MAで蓄積したデータをSFAやCRMに連携する |
| スコアリング | スコアリング設定 | リードの行動履歴からスコア付けを行う |
| コンテンツ作成 | ランディングページ作成 | 検索結果や広告からリンクされる1枚ものページの作成 |
| コンテンツ作成 | オウンドメディア作成 | 自社独自の情報を発信するメディアの作成 |
| コンテンツ作成 | フォーム作成 | リード獲得を目的としたフォームの作成 |
| チャネル配信 | シナリオ作成 | 特定のアクションを起こした際に自動実行するシナリオの作成 |
| チャネル配信 | ターゲティング機能 | 特定のリードのみに絞ってキャンペーンの設計や実行を行う |
| チャネル配信 | メール作成・配信 | 作成したシナリオに基づいて配信するメールの作成を行う。また期間を軸にしたステップメールの配信の実施も可能 |
| チャネル配信 | SNS連携 | SNSを利用した情報発信やレビュー情報を収集し管理する |
| チャネル配信 | 広告連携 | 広告を活用して集客したユーザー情報を収集し管理する |
ツール選定
自社のビジネス分類や必要な機能が整理できたら自社ビジネスに合うツールの選定を行います。
導入実装
MAツールの選定が終わったらMAが利用できるように、MAツールの実装を行っていきます。実装は全部で「環境構築」「データ連携」「データ処理」「チャネル連携」「セキュリティ設定」の5つのステップで実行していきます。
環境構築
顧客データを取り扱って配信を行うため情報の取扱いには慎重にならないといけません。そのため開発環境と本番環境を2つ用意し、意図した配信ができる環境が準備できているかを検証するために開発環境を用意します。
データ連携
MAツールにデータを連携する設定を行います。データ連携を行うためには、連携システム、連携頻度、連携方法の3つの項目に対して整理を行っていきます。
| 連携システム | MAツールに連携したいシステムがオンプレミスもしくはクラウドサーバーなのか、どのデータベースとデータを連携するのか定義します |
| 連携頻度 | どの頻度で顧客管理システムからMAツールにデータを連携するのか定義します。日次や月次のバッチ処理やリアルタイムでの連携など、データの項目ごとに連携頻度を設定します。 |
| 連携方法 | データの連携方法を定義します。連携方法は手動で行うか、自動で行うかの二択になります。 |
データ処理
連携された顧客データはMAで利用できるように処理を行う必要があります。顧客データを配信リストとして活用するためには、顧客マスタの更新、除外管理、配信化の顧客の抽出が必要になります。
| 顧客マスタの更新 | 顧客管理システムで新規追加または変更されたリストをMAツールの顧客マスタに反映できるように設定を行います |
| 除外管理 | 顧客管理システムには配信に合意した顧客(オプトイン顧客)と配信を拒否した顧客(オプトアウト顧客)が含まれるため、MAツールに連携された顧客データからオプトアウト顧客を除外します |
| 配信可能顧客の抽出 | 顧客マスタから、除外リストを覗いた顧客リストが配信可能顧客になります |
チャネル連携
オウンド・ペイドなど自社で扱っている様々なメディアと連携を行います。MAツールで管理している顧客IDと各チャネルツールで管理している顧客IDが照合できる仕組みを構築することが重要になります。
セキュリティ設定
顧客情報の漏洩などは企業の信用毀損につながります。そのため、しっかりとセキュリティ対策をしておく必要があります。
| IPアドレス制限 | 顧客データと連携されているMAツールやSFTPサーバーにはIPアドレスの制限を設定します |
| データ通信の暗号化 | 顧客データが管理されているデータベースからMAツールに個人情報を連携する際にセキュリティ上の安全性を高めるためにSFTPによるデータ連携を行います。 またMAツールから配信されるメールも個人情報漏洩のリスクがあります。メールサーバー間の通信やコンテンツのSSL化を実施します。 |
| 個別ユーザー権限 | MAツールの設定や閲覧といった権限を役割に応じて設定します。一般的に役割には「管理者」「シナリオ設定者」「コンテンツ設定者」「アナリスト」があります。 |
| 個人情報の暗号化 | MAに連携された個人情報を閲覧できないように暗号化やマスキング処理を実施します。 |
| 操作ログの収集 | 情報漏洩リスクに備えて、MAツール利用ユーザーの操作ログを収集し、ログイン履歴や個人情報を含むデータが出力されていないかチェックできる状態にしておく。 |
データマネジメント
MAツールに関わるステークホルダーに向けて、データ項目定義書を作成します。定義書に記載する項目としては、大きく分けて5つの項目に対して整理しドキュメントにまとめます。
| データベースの数 | MAツールで利用できるデータが格納されているデータベースの数 |
| データ連携状況 | 利用しているデータベースが複数ある場合、主キーで連携可能か連携可能な場合、何か主キーになるか |
| データ内容 | データベースに格納されているテーブル情報や各データ項目 |
| データ更新方法 | 各データ項目の更新が自動なのか手動で更新されているのか |
| データ更新頻度 | 各データ項目の更新頻度がリアルタイムなのか日次、週次、月次のようなバッチ処理なのか |
シナリオプラニング
MAツールの導入ができたら自社のビジネスを分析し、必要なシナリオを洗い出し設計していきます。顧客のカスタマージャーニーを整理し、どのマーケティング活動をMAを使って自動化していきたいのかを整理します。
自社分析
シナリオプランニングにおいてまず始めに自社の現状を把握します。マーケティング活動は自社ブランドの認知拡大からリードの獲得・育成を行い、インサイドセールスへホットなリードを渡すまでが一連のフローになります。またC向けの場合は、顧客になるまでをマーケティングフェーズに含める場合もあります。
| フェーズ | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| マーケティング | 認知拡大 | 自社ブランドの認知を高める。自社へのサイト訪問があり、明確なリード情報がないユーザーをアノニマスリードとも呼びます。 |
| マーケティング | リード獲得(リードジェネレーション) | 自社ブランドに興味のある見込み客(リード)を獲得する。 獲得した育成前のリードはコールドリードとも呼ばれます。 |
| マーケティング | リード育成(リードナーチャリング) | 獲得したリードの興味関心レベルを高める |
| マーケティング | 有望リード(リードクオリフィケーション) | 育成したリードが定めた基準値まで到達して有望化する。 育成されて、インサイドセールスに渡せる状態になったリードをホットリードとも呼びます。 |
| マーケティング セールス | 顧客化 | 自社ブランドの購入を行い、顧客になる |
各フェーズにおいて現状、自社ブランドが獲得している認知やリード数、獲得した顧客数などを数値化して、自社ブランドのマーケティング活動を数値化します。
また最終的なコンバージョンでは無く、マーケティングフェーズの次のフェーズに移行する場合は、そのフェーズに移行するまでにどれくらい期間を要したのかも把握しておくことで、シナリオ間のリードタイムが把握しやすくなります。
シナリオターゲットの抽出
自社ブランドのマーケティング活動の現状が整理できたら、MAで作成するシナリオのターゲットを整理します。シナリオのターゲットを決める際には、MAで果たしたい最終ゴール(ホットリードや獲得顧客)に対してセグメントを区切って、ターゲットを絞りこみます。
| セグメント | 自社ブランドのターゲットとなる顧客をデモグラフィック・ジオグラフィック・サイコグラフィック・ビヘイビアの4軸で区切り、それぞれのセグメント毎の数値を整理します。 |
| ターゲティング | 区切ったセグメントからシナリオを作成するターゲットを選定します。ターゲットを選定する際は4Rを意識します。 |
セグメント
セグメントはデモグラフィック・ジオグラフィック・サイコグラフィック・ビヘイビアの4つの観点から区切ることができます。自社が保有しているリストのデータを使って区切れるセグメントを活用します。MAツールはユーザーの行動履歴に合わせてシナリオを構築することでより高いパフォーマンスを発揮するため4つの観点の中でもビヘイビアのセグメントは最も重要です。
| セグメント | 項目 | 内容例 |
|---|---|---|
| デモグラフィック | 性別 | 男性・女性・その他 |
| デモグラフィック | 年齢 | 年代・年齢 |
| デモグラフィック | 家族構成 | 未婚既婚・子供の有無 |
| デモグラフィック | 学歴 | 中卒・高卒・大卒・院卒 |
| デモグラフィック | 職業 | 役職・仕事内容 |
| デモグラフィック | 年収・資産 | 金額 |
| デモグラフィック | 可処分所得・時間 | 金額・時間 |
| デモグラフィック | 企業情報(toB) | 業種・業界・従業員数・売上高 |
| デモグラフィック | ゴール・課題(toB) | 目標・課題・責任範囲 |
| ジオグラフィック | 居住地 | 地域・都市規模・人口密度・沿線・最寄駅 |
| ジオグラフィック | 居住形態 | 同居家族・賃貸持ち家 |
| ジオグラフィック | 勤務地 | 地域・都市規模・人口密度・沿線・最寄駅 |
| ジオグラフィック | 気候 | 温暖寒冷・気温・天気 |
| サイコグラフィック | 心理傾向 | 性格 |
| サイコグラフィック | 趣味嗜好 | 趣味・興味関心 |
| サイコグラフィック | 価値観・ライフスタイル | 大切にしていること・幸せの定義 |
| サイコグラフィック | 社風(toB) | 企業の価値観・企業独自の雰囲気 |
| ビヘイビア | 消費・購買傾向 | よく行くエリアやお店・購買状況・利用用途・利用頻度 |
| ビヘイビア | 情報収集傾向 | 情報入手メディア・使用デバイス・利用シーン |
| ビヘイビア | 利用交通手段 | 電車・バス・自動車・自転車・徒歩 |
ターゲティング
ターゲットを選定する際は、4つの項目の頭文字をとった4Rを意識します。またターゲットは1つに絞る必要性はありません。自社ブランドと関係性の高いセグメントを複数選定することで、自社ブランドのペルソナ像として数パターン用意することができます。
| Realistic | 有効な規模・人数がいるか |
| Rank | 優先度が高いか |
| Reach | 顧客に到達できるか |
| Response | 結果が測定できるか |
顧客になる見込みが高い顧客でも規模が小さければ事業に貢献できる効果は見込めません。MAツールの導入や利用には費用がかかるため効果が見込めない場合、費用対効果はマイナスになってしまいます。また対象者が少ない場合は、効果検証も十分にできないため、対象ターゲットのボリュームは重要な指標の1つになります。
また、対象ターゲットが優先度の高いターゲットになっているか到達可能性に問題ないかにも注視します。どんだけボリュームがあっても、目的を果たすのが難しい顧客の場合、ターゲットとしては適しません。そしてどんな優れたターゲットでも自社で保有しているデータではセグメントを区切ることができない条件や相性の悪いチャネルを活用していては、ターゲットに情報を届けることができません。そのためターゲットの質とコンタクト可能性についても確認する必要があります。
コミュニケーションプラン作成
シナリオターゲットの整理ができたら、各ターゲット毎にシナリオを作成していきます。シナリオのゴールはマーケティングフェーズのホットリストや顧客化に繋がることになります。そこまで到達するのにユーザーの行動履歴に合わせてシナリオを構築していきます。シナリオ設計時には5つのポイントを整理します。
| One to One設計 | 経路(パス)条件の設定 |
| チャネル | どのコミュニケーションチャネルを使用するか整理 |
| コンテンツ | 各チャネルから入ってくるコンテンツの整理 |
| 接触頻度(フリークエンシー) | 顧客へ接触する最大頻度の整理 |
| 終了タイミング | シナリオから離脱するタイミングの整理 |
One to One設計
1つのシナリオの中で顧客の詳細な属性や行動に応じて、接触するチャネルや提供するコンテンツを分別します。シナリオターゲットに対して、一人一人に即したメッセージを届けることができるように分岐条件を整理しフローチャートを作成します。
最終的な目的に対して、作成するシナリオでどれくらいのCV数を得たいのかから逆算して、各マーケティングフェーズでの目標数値の整理含めシミュレーションも作成します。
チャネル
ユーザーにメッセージを届ける手段を決めます。1つのチャネルだけではなく、複数のチャネルを使ってコミュニケーションを取ることでアプローチできるユーザー数も増えます。施策の特徴や顧客の属性に合わせて各チャネルを選定します。
| メディア分類 | アプローチ分類 | メディア名 | アプローチ可能セグメント | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| オウンド | PUSH | メールマガジン | 配信許諾を取得しているユーザー | 自社のメールマガジンを購読しているユーザーに対してメールマガジン形式の文章を配信することが可能 |
| オウンド | PUSH | アプリPUSH | 配信許諾を取得しているユーザー | 通知を許諾しているユーザーに簡易的な画像と簡易的な文章をPCやスマートフォンの画面上に通知を送ることが可能 |
| オウンド | PUSH | SMS | 配信許諾を取得しているユーザー | 通知を許諾しているユーザーに文章をスマートフォンの画面上に通知を送ることが可能 |
| オウンド | PUSH | コール | 電話番号を取得している自社顧客 | コールセンターから顧客に直接、電話をかけることで柔軟な対応が可能 |
| オウンド | PULL | サイト/アプリ掲載バナー | サイトを閲覧しているユーザー | 自社のサイト・アプリを閲覧しているユーザーに対して告知バナーを掲載しておくことで、興味あるユーザーにアプローチすることが可能 |
| オウンド | PUSH/PULL | SNS | 自社SNSをフォロー・閲覧しているユーザー | 自社のSNSをフォローや閲覧しているユーザーに対して動画・画像・音声を使って情報発信することが可能 |
| ペイド | PULL | マス広告 | マスメディアを閲覧・購読しているユーザー | テレビやラジオ、新聞や雑誌などに掲載される広告。不特定多数の視聴者、読者へ向けた「マス」向けの広告で見ている人にアプローチすることが可能 |
| ペイド | PUSH/PULL | セールスプロモーション広告 | 不特定多数 | 購買意欲の向上と購買行動への促進に重点を置いた広告。ダイレクトメール、折り込みチラシ、同封広告、会員誌広告、交通広告などが該当し広告を見ている人不特定多数にアプローチすることが可能 |
| ペイド | PUSH/PULL | ネット広告 | インターネットメディアを閲覧・購買しているユーザー | インターネット上にあるホームページ、ブログ、メール、アプリ・SNSなどに掲載される広告。広告をクリックすると広告主のサイトやキャンペーンページなどへアクセスすることができユーザーにアプローチすることが可能 |
コンテンツ
チャネルを通じて、ユーザーに詳細な情報を提供するのがコンテンツになります。チャネルによって提供できるコンテンツの種類は変わってきますが、各マーケティングフェーズに合わせて提供するコンテンツを整理します。
| 会社概要 | ・企業情報 |
| 最新情報 | ・お知らせ |
| 事業内容 | ・展開している事業内容 |
| サービス・商品説明 | ・商品やサービス情報 |
| 実績紹介 | ・事例紹介 ・お客様の声 |
| よくある質問 | ・顧客から問い合わせが多い質問に対しての回答集 |
| コラム | ・ブランドに関連する記事 |
| キャンペーン | ・プロモーション情報 ・商品やサービス情報 |
| 採用情報 | ・求める人物像 ・社員紹介 ・採用情報・フロー ・募集職種 ・福利厚生 |
| 代表メッセージ | ・会社の立ち上げストーリー |
| アクセス | ・所在地までのアクセス方法 |
| 免責事項 | ・プライバシーポリシー |
| IR | ・業績・財務 ・ライブラリー ・株式情報 ・コーポレートガバナンス |
| CSR | ・活動内容 |
接触頻度(フリークエンシー)
様々なチャネルを通してユーザーと接触することが可能になるため、ユーザーとの接触頻度は高くなりがちです。しかし同じメッセージを何度も提供すると自社ブランドに対してのネガティブイメージに繋がります。また接触頻度が増えれば増えるほど顧客からの反応は薄くなりますので、1メッセージに対して1ユーザーあたりに接触する頻度を調整します。
終了条件
シナリオからのアプローチを終了するための顧客の離脱条件を決めます。アプローチを終了する条件としては、シナリオによって様々ですが目的を達成した場合や目的の達成見込みが無いと判断した場合にシナリオからドロップアウトさせ、リサイクルリストの中に含めるようにします。
| 分類 | 項目 | 終了条件 |
|---|---|---|
| 目的達成 | 目的達成 | シナリオの最終ゴールに到達した時 |
| 目的達成見込み無し | 接触頻度 | 接触頻度が上限に達した時 |
| 目的達成見込み無し | 反応無し | 複数回アプローチしても顧客からの反応を得られなかった時 |
| 調整 | オプトアウト | 配信拒否が入ったユーザー |
| 調整 | ブラックリスト | 自社ブランドに適さないユーザー |
| 調整 | 他シナリオ優先 | 他に配信しているシナリオが優先された時 |
MAツール設計・実装
シナリオプランニングが完了したら、そのシナリオを実際にMAで機能するようにMAツールに実装を行なっていきます。MAツールに実装して配信まで行うには大きく分けて4ステップで実行していきます。
ターゲットリスト抽出
施策ターゲットとなるユーザーのリストを抽出します。ステークホルダー間でターゲット条件の確認が必要な場合は、処理フロー図を作成して共有します。
またターゲットリストを作る際は、ターゲットに該当するけど配信をしないコントロール群を作成します。コントロール群を作成することで、施策を実施した時と実施しなかった時を比較することができ、施策実施による効果を把握しやすくなります。
シナリオ設定
施策ターゲットに対して、シナリオプランニングで設計したシナリオを実装します。
チャネル・コンテンツ設定
シナリオで分岐させた先にMAと繋がっているチャネルとそのチャネルで配信できるコンテンツを設定します。
配信設定
必要な設定ができたら配信設定を行います。ユーザーに配信する前にはテスト配信(結合テスト)をすることで、配信設定が間違っていないか確認することができるため、テスト配信を実施することを推奨します。
テスト配信を行う際には、テスト配信時に確認する項目を「テスト配信設計書」に整理してからテスト実施をすることで、ステークホルダー間でテスト内容の合意や共有を行いやすくなります。
また運用においてはトラブルが発生してしまうことがあります。トラブルが発生してから対応策を検討するのでは無く、予めトラブル発生時の対応書も整備しておくと配信後のトラブル対応もスムーズになります。
効果測定・改善
MAで設定したら終わりではありません。各シナリオの効果測定をしっかりと行い改善活動を通して、より最適なシナリオへ改善していきます。
効果測定
MAでシナリオ配信を行った結果のデータを収集します。データを収集する際はシナリオプランニングで立てた目標に対して、目標を達成できたのか否かの観点でデータを収集するようにします。また、各シナリオでの配信でコントロール群を作成している場合は、配信個別に実施有無による効果差異を確認し、配信効果を把握します。
個別に配信毎、シナリオ全体で共通して取得する指標はIMP(配信数)・CV(CVR)を取得します。
| IMP(配信数) | 各チャネル毎の配信数やインプレッション数 |
| 配信成功者数・成功率 | 各チャネルで配信を予定していた数のうち配信が成功した数 |
| 開封数・開封率 | 配信したチャネルでチャネル内のコンテンツが閲覧された数・割合 |
| CT(CTR) | 配信したチャネル毎のクリック数・率 |
| CV(CVR) | 配信したチャネル毎のCV数・CV率 |
要因把握
効果測定ができたら目標に対してビハインドしているシナリオや個別の配信毎に対して、ビハインド要因を探ります。ビハインドの要因を探る際は、シナリオ全体、最終目的(ホットリード化、顧客化)に近い個別の配信という、目的に対して影響度の高い所を優先度を高くして要因を特定していきます。
| IMP | IMPの数が想定より低い場合は、どのターゲットセグメントで想定のIMPが獲得できなかったのかを把握します。 |
| CTR | CTRが想定より低い場合は、CTRが低い要因を把握します。 <要因特定候補> ・配信セグメントとのマッチ率 ・配信時期/時間 ・フリークエンシー |
| CVR | CVRが想定より低い場合は、コンテンツのどこにボトルネックがあるかを把握します。 <要因特定候補> ・滞在時間 ・スクロール度合い ・クリック(タップ)要素 ・アテンション ・マウスフロー |
改善施策検討・実行
要因を把握できたらそのポイントに対して、改善施策を検討します。IMP・CTRがボトルネックになっている場合はチャネルを、CVRがボトルネックになっている場合はコンテンツに対して、改善案を検討します。
| チャネル改善 | ・チャネルアロケーション ・ターゲットセグメントの変更 |
| コンテンツ改善 | ・コンテンツの拡充 ・コンテンツの並び替え ・コンテンツの縮小・カット |
施策を実施する場合は、ランダム比較化実験(ABテスト)や実験計画法、多変量解析など施策実施が効果をもたらしてるのか振返るができるような状態を作れることが理想です。
まとめ
自社ブランドのマーケティング活動にかけられるリソースは有限です。マーケティングは「売れる仕組みづくり」が重要ですので、MAを使って、認知拡大からリード取得・育成・顧客化のフェーズまでを自動化できると自社ブランドのマーケティングはよりグロースしやすくなります。
MAは導入すれば成果が出るわけではありません。目的に合わせたMA導入、導入したMAで自社のマーケティング活動にフィットしたシナリオプラニング、プラニング通りの実装、配信後の改善活動と全てが上手く歯車が回ることで、成果の出るMA運用ができます。MAからしっかりと成果が出る運用ができることで自社ブランドの売上・利益は大きく跳ね上がっていくでしょう。
参考文献
今回の記事を書くに当たって参考にさせて頂いた文献一覧。

